ペアローンを組んだのに離婚したらどうなる?1本化できる?プロが対処法や問題点を解説
共働きのパワーカップルにとって、お互いの収入を活かして希望額を借りやすい「ペアローン」は、夢のマイホームを手に入れるための魅力的な選択肢ですよね。
もしもの離婚時に契約上の制約や追加負担が生じる可能性があります。仕組みと対処手順を事前に理解しておきましょう。
マイホームを一緒に購入するくらいなので、購入時にそこまで考える方は少ないのは事実です。
しかし現実として、一つのマイホームに対して夫婦それぞれの住宅ローンが存在するペアローンは問題を非常に複雑にし、離婚時の話し合いを「泥沼化」させる可能性があるのです。
この記事では、ペアローン利用者が離婚時に直面する可能性のある問題点を具体的に解説します。
すでに返済中の方に向けて、最初に確認することと、夫婦の合意を金融機関の手続きにつなげる順番も紹介します。
MIYABIさらに、「リスクは理解した。それでもペアローンで家を買いたい!」と考える方のために、万が一の離婚(検討)時にどう対処すべきか、具体的な選択肢もご紹介します。
心底そうなってほしくないですし、「結果として役に立たなかったね」で済むべきことですが、お読みいただければ幸いです。

そもそもペアローンとは? なぜ離婚時に問題が複雑化するのか
ペアローンは住宅ローンの一種で、一つのマイホームに対して、夫婦(または親子)がそれぞれ住宅ローン契約を結びます。
夫と妻、それぞれが主債務者となり、自身の収入に基づいて借入れを行うため、単独でローンを組むよりも多くの金額を借りられるのが大きなメリットです。
お互いがお互いの「連帯保証人」になる点が問題化する
ただし、多くの金融機関では、ペアローンを組む際に夫が妻の、妻が夫の「連帯保証人」になることを求められます。
これが、離婚時に大きな足かせとなるポイントです。
| ローンの種類 | 契約者 | 住宅ローンの契約数 | 連帯保証の有無 | 不動産の所有権 |
|---|---|---|---|---|
| ペアローン | 夫:債務者 | 1本 | お互いに連帯保証人となる | あり (共有) |
| 妻:債務者 | 1本 | あり (共有) |
つまり、一つの家に対して
- 「ローン契約が2本」
- 「それぞれが相手の連帯保証人」
- 「不動産の名義も共有」
という状態になるのです。
離婚経験者の住宅ローン契約形態
離婚した人が、結婚していたときに住宅ローンをどう組んでいたかを尋ねた調査があります。
2023年2月に全国不動産売却安心取引協会(おうち売却の達人)が実施した調査では、婚姻時に持ち家に住んでいた30~49歳の離婚経験者232人の住宅ローンの組み方は、次のとおりでした。
- 夫単独でローンを組んでいた:44.0%
- 夫婦でペアローンを組んでいた:21.6%
- 夫がローンを組み、妻が連帯保証人になっていた:12.1%
ここで注意したいのは、21.6%は離婚した232人の内訳であり、ペアローンを組んだ夫婦が離婚した割合(離婚率)ではないことです。
ペアローンを組んだ夫婦全体のうち何組が離婚したかは、この調査からは分かりません。
そのため、ほかの借り方と比べて離婚しやすいか、しにくいかも判断できません。
MIYABI21.6%という数字から、ペアローンだと離婚しやすい・しにくいとは言えません。
どちらにしても、離婚したときに契約がどう残るかは、知っておいて損はありません。
大切なのは割合よりも、ペアローンを組んだあとに離婚し、家とローンの整理が必要になる人が実際にいることです。
ペアローン離婚で直面する「3つの壁」

もし、ペアローンを組んだ夫婦が離婚することになった場合、主に以下の3つの大きな問題点を確認し、乗り越える必要があります。
壁①:ローン支払い義務は続く!「連帯保証」という名の呪縛
当然ですが、離婚したからといって住宅ローンの返済義務がなくなるわけではありません。
家を出て行ったとしても、自分の名義のローンは支払い続ける必要があります。
さらに深刻なのは「連帯保証」の問題です。
例えば、妻が家に残り、家を出た夫が自分のローン返済を滞納したとします。
この場合、連帯保証人である妻が、夫のローンの返済を求められるおそれがあります。
滞納が続いて一括返済を求められると、残っている金額の全部が対象になることもあります。
いつ、どこまで請求されるかは、契約の内容と返済の状況によって変わります。
自分のローン返済に加えて、元夫の分まで支払いを求められ、最悪の場合、住んでいる家を失う可能性もあります。
MIYABIあってはならないことですが、養育費問題然り、自分が享受できないものに支払いを続けられるかは難しいケースが多い現状があります。
離婚後も、元パートナーの支払い状況に怯えなければならないリスクがあるのです。
壁②:不動産とローンの「共有名義」という名の”がんじがらめ”

ペアローンで購入したマイホームは、基本的に夫婦の「共有名義」となります。
これは、離婚時に大きな足かせとなる場合があります。
家全体を売る・貸すには相手との合意が必要
家全体を売りたい、貸したいと思っても、共有名義者である元パートナーと合意できなければ、思うように進められません。
こちらは離婚後のいざこざを無くす、清算するという価値観が一致して手放す方向に合意できれば問題になりにくいです。
しかし、どちらかが「手放さない」と主張するなど意見が対立すれば、一気に身動きが取れなくなります。
名義変更には金融機関の承諾が必要
金融機関は個人間の事情よりも、債務者の返済リスクを懸念します。
そのため、離婚を理由としたローンの名義変更(例えば夫のローンを家に残る妻が引き受けるなど)は、夫婦の合意だけではできず、金融機関の審査と承諾が必要です。
銀行は「二人の収入があるから返せる」と判断して貸しているため、一人で返せるかを改めて審査します。
利用中の金融機関に離婚に伴う変更を相談できる窓口がある場合もありますが、承諾されるとは限らないため、早めに相談して扱える手続きを確かめておきましょう。
相続問題の複雑化
万が一、どちらかが亡くなった場合、その持ち分は法定相続人(子供や親など)に引き継がれ、権利関係がさらに複雑になる可能性があります。
一般に住宅ローンでは団体信用生命保険(団信)へ加入します。※1加入者本人が亡くなった場合、その本人分の残債が保険で弁済されるのが通常です(ペアローンではもう一方のローンは残ります)。

※1 団信の補償範囲・特約は商品ごとに異なります。加入者本人分のみが弁済対象となるのが一般的です。
MIYABIまとめると、「合意の上で処分する」なら大きな問題にはなりにくいです。
ただ、どちらかが住むと主張するケース、万一の団信未加入のケースと離婚が組み合わされると、一気に地獄になりがちです。
壁③:住み続ける?売却する?「究極の選択」と契約違反のリスク
離婚後、その家にどちらかが住み続けるのか、それとも売却するのかを決めなければなりません。
どちらかが住み続ける場合:
- 名義と居住者の不一致は基本NG
多くのペアローン契約では、ローン名義人がその家に住むことが条件となっています。お金を貸す金融機関が二人分の返済能力に対する信用力=融資額であるため、離婚して片方が出ていくと契約違反とみなされる可能性があります。離婚等で居住実態が変わる場合は、事前に金融機関へ相談し承諾を取得してください。 - 単独名義への変更が必要
住み続けるためには、家とローンの名義を単独にするのが理想ですが、前述の通り金融機関の審査と承諾が必要で、ハードルは高めです。元々2人分の信用力で貸していたものが一人でもOKであれば、元々ペアローンにする必要がないためです。 - 贈与税のリスク
財産分与で合意ができていても、「妻名義の家に元夫がローンを払い続ける」といった状況は、贈与とみなされ思わぬ税金が発生する可能性も否定できません。離婚に伴う財産分与は通常、贈与税の対象外ですが、過大な分与などは課税されることがあります。個別判断は所轄税務署の見解に依存します。(参考)

売却する場合
売却する場合、売却代金から仲介手数料などの費用を引いた手取りで、二人分のローンを完済できれば問題はシンプルです。
残ったお金(売却益)があれば、それを財産分与の対象として分け合います。
問題は、売却してもローンを完済できない「オーバーローン」の場合です。(詳しくは後述)
MIYABI離婚時には、家のこと以外にも慰謝料や養育費など、お金に関する様々な取り決めが必要です。
特に大きな買い物である家は、感情的であればあるほど問題が深刻化します。
【残債あり】ペアローン離婚の「泥沼」を避けるための選択肢

住宅ローンの残債があり、すぐに完済するのが難しい場合、離婚×ペアローン問題を解決するための選択肢は
もしくは
のどちらかです。
どの方法を選択するにしても、必ず金融機関への相談が必要不可欠ですが、仔細も含めて解説します。
| 選択肢 | 主な内容 | 連帯保証人 | メリット | デメリット | |
|---|---|---|---|---|---|
| ローンと名義を一本化 | 債務引き受け | どちらかが相手の ローンも引き受ける | 契約の形で変わる (外れるかは契約しだい) | ・返済は残るローン分 のみになる | 金融機関の承諾が必須 (審査あり) |
| 借り換え | 新たな単独ローンで ペアローンを完済 | 完済すれば解消 | ・名義を一本化できる ・金利が下がる可能性 | 借り換え審査に 通る必要がある (十分な収入が必要) | |
| 不動産を売却する | アンダーローン | 売却の手取りで ローン完済 | 完済すれば解消 | ・ローン完済 ・共有名義解消 ・残ったお金を分けられる | 新しい家を探す必要がある |
| オーバーローン | 売却してもローンが残る(任意売却など) | 残債があれば残る | ・共有名義のリスク解消 | ・残債の支払いは残る (金融機関と交渉) ・自己資金が必要になる 場合も | |
| その他の選択肢(注意点あり) | 2人で払い続ける | 共有名義のまま、 どちらかが住み続ける | 継続 | ・今の家に住み続けられる(住む人) | ・契約違反リスク (事前に金融機関へ相談) ・相手が滞納したら 支払い義務発生 ・トラブルの元 |
| 賃貸に出す | 賃料収入を ローン返済に充てる | ・ローン負担が軽減される可能性 | ・金融機関の承諾が必要 (借り換えを求められる場合も) ・共同で賃貸経営する 必要がある ・空室リスク | ||
| リースバック | 売却後、賃貸として 同じ家に住み続ける | 売却代金で 完済できれば解消 | ・同じ家に住み続けられる ・売却資金が得られる、固定資産税不要 | ・売却価格が相場より 安くなる場合がある ・家賃発生 ・契約によっては 住める期間に限りがある | |
選択肢1:ローンと名義を一本化する(どちらかが家に住み続ける場合)
家に住み続けたい側が、相手の分のローンも含めて一本化する方法です。
可能であれば丸く収まる可能性が高いですが、金融機関の審査と承諾が必要で、ハードルは高めです。
一本化の審査で求められやすい書類
本人確認、収入資料(源泉徴収票・確定申告書・課税証明)、既存ローン返済予定表、残高証明、不動産登記事項証明、共有者の同意書、財産分与合意(公正証書等)、団信申込書。
MIYABI審査は総合判断であり、年収・返済比率・勤務先・他債務などが見られます。
債務引き受け
住み続ける側(例:妻)が、出ていく側(例:夫)の「持分」と「住宅ローン」を引き受ける方法です。
しかし、金融機関が「妻一人でも十分に返済できる」と判断しなければ許可されません。
一人分の収入で返せるかを審査されるため、ハードルは高めです。
また、債務引受には、出ていく側も返済義務を負い続ける形と、出ていく側が返済義務から外れる形があります。
「引き受けてもらえた」で終わらせず、出ていく側のローンと連帯保証がどうなるかまで書面で確認しましょう。
借り換え
別の金融機関で新たに単独ローンを組み、現在のペアローン(夫婦2人分)を全額完済する方法です。
こちらも、ペアローン残債全額を一人で借り換えられるだけの収入や信用力が求められますが、新たに頭金を用意できるなどの要素で成功することもあり得ます。
また、審査の結果、希望額を借りられない可能性もありますが、成功すれば名義もローンもスッキリ一本化でき、場合によっては金利が下がる可能性もあります。
MIYABIいずれにせよハードルは高めなので、債務引受と借り換えの両方を、今の金融機関と借り換え先に相談して比べるのがおすすめです。

選択肢2:不動産を売却する(夫婦ともに家を出る場合)

また、家に住むことを諦めて売却し、その代金で夫婦それぞれのローンを完済する方法は、多くの方にとって現実的な選択肢です。
MIYABIペアローンの処理だけでなく、お互いに別の場所で再スタートを切りたい場合にも有効な手段です。
とはいえ、売却益でペアローンを完済できるか否かで明暗分かれます。
完済できるかどうかは、売却価格とローン残高をそのまま比べるのではなく、費用を引いた手取りと、二人分の完済に必要な金額で比べます。
【比べ方】
売却代金 − 仲介手数料などの売却費用 − 二人分の完済必要額 = 手元に残る金額(マイナスなら不足額)
例えば、売却代金が4,000万円、売却費用が150万円、二人分の完済必要額が3,900万円だとすると、手取りは3,850万円で、50万円足りません。
この数字は計算の仕方を示すための仮の例で、150万円を売却費用の相場として示したものではありません。
完済必要額は、決済日までの利息や繰上返済の手数料を含めて金融機関に確認し、売却費用は不動産会社に見積もってもらいましょう。
アンダーローン(売却の手取り > 完済必要額)の場合
売却代金でローンを完済し、抵当権(金融機関が担保として設定している権利)を抹消できます。
手取りが完済必要額を上回れば、残ったお金を財産分与として夫婦で分けることになります。
最もスムーズな解決方法と言えるでしょう。
オーバーローン(売却の手取り < 完済必要額)の場合:
家を売ってもローンを完済できない状態です。
この場合、売却代金だけでは抵当権を外せないため、不足分を用意するか、金融機関と条件を話し合わない限り売却を進められません。
不足分を自己資金で補填するか、後述する「任意売却」などの手段を検討する必要があります。
その他の選択肢(リスクや条件を理解した上で)

2人で払い続ける(共有名義のままどちらかが住む)
ローンの借り換えや一本化ができない場合の選択肢ですが、前述の通り契約違反のリスクや、相手の滞納リスクを常に抱えることになります。
また、家を出た側が養育費代わりにローンを支払い続けるケースもありますが、これも支払い踏み倒しなどの滞納リスクは消えません。
将来的なトラブルを防ぐためにも、公正証書を作成しておくことが強く推奨されますが、根本的な解決にはなりません。
賃貸に出す
住宅ローンは自己居住が前提のため、賃貸化は金融機関の承諾が前提です。無断賃貸は約款違反となり得て、金利引上げや借換え等を求められる場合があります。※2
また、元夫婦が協力して賃貸経営を行う必要があり、お互いにビジネスパートナーとして接することができるなら別ですが現実的とは言えません。
※2 賃貸への転用は必ず事前に金融機関へ相談。承諾内容により金利変更・借換えや一括返済請求の可能性があります。
リースバック
自宅を不動産会社などに売却し、その後、賃貸契約を結んで住み続ける方法です。
売却資金を得ながら住み慣れた家に残れるメリットがありますが、売却価格が相場より安くなったり、家賃が相場より高くなったりする場合があります。
また、定期借家契約の場合は、契約期間が終わると再契約できずに退去を求められることもあります。
契約の種類、住める期間、再契約や家賃改定の条件、住んでいる間に払う家賃の合計を、売却価格と合わせて確認しましょう。
オーバーローンでも諦めない!早期にペアローンを解消したい場合の選択肢
という場合の選択肢です。
| 選択肢 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 売却金+自己資金 | 不足分を貯金などで補填し、早期に一括返済できる | 自己資金の負担が大きい |
| 売却+住み替えローン | 残債と新居のローンをまとめて借りられる | 借入額が大きくなり審査が厳しくなりやすい |
| 売却+無担保ローン | 不足分をフリーローンなどで借りて完済できる | 住宅ローンより金利が高い |
| 任意売却 | 競売より市場価格に近い価格で売却しやすい | 売却後も残債と保証は残る、延滞があれば信用情報に記録が残る、売却期限がある、債権者の同意が必須 |
売却金+自己資金で一括返済
ローン残債と売却価格の差額を、貯蓄などで補填して完済する方法です。
自己負担は大きいですが、追加の借金をせずに済みます。
売却金+住み替えローンを利用
今の家のローン残債の不足分と、新しく住む家の購入資金を合わせて借りられるローンです。
二重ローンを避けられますが、借入額が大きくなるため審査は厳しくなりやすく、商品によっては通常の住宅ローンより金利が高いこともあります。
残債の返済に使えるか(資金使途)と、毎月いくら返すことになるかを、借りる前に確認しましょう。
売却金+無担保ローンで返済
不足分をカードローンやフリーローンで借りて返済する方法です。
住宅ローンより金利が高いため、新しい住まいの家賃などと合わせて返し続けられるかを、借りる前に確かめる必要があります。
すでに返済が苦しい場合は、借り足して支払いを先送りする前に、借入先や弁護士などへ相談しましょう。
最終手段:任意売却
売却代金だけでは完済できないときに、金融機関などの債権者の同意を得て家を売却する方法です。
売却代金をどう配分するか、抵当権をどの条件で外すかを、債権者と調整しながら進めます。
競売よりも市場価格に近い価格で売れる可能性があり、プライバシーも守られやすいメリットがあります。
ただし、任意売却の相談をするために、わざと返済を止める必要はありません。
返済が難しくなりそうな段階で、借入先に相談しましょう。
すでに延滞している場合は、信用情報に延滞の記録が残ることがある点にも注意が必要です。
MIYABIまた、売却には期限があり、共有名義者全員の同意も必要です。
任意売却をしても、残ったローンの返済義務と連帯保証は自動ではなくならないので、売却後の返し方まで債権者と確認しましょう。

【結論】ある程度、頭金出してでもローンの借り換えか、売却が有力候補
結論としては、
- ある程度、頭金出してでもローンの借り換え
- 売却する
- (金融機関の承諾を得て賃貸に出す)
が、離婚×ペアローン問題において有力な選択肢です。
離婚時の温度感にも依りますが、ある程度冷静に見据えられるならこの3つが多くの方にとって比較的円満な解決方法でしょう。
いずれにせよ、最大の問題(しかし、現実的に結構いらっしゃいます)は「一方が家に住み続けて譲らないケース」です。
それも冷静に行うべき財産分与に際しても、感情的な対立があると「家に絶対住み続けたい!」と固執し、現実的な問題を後回しにしてしまう傾向があります。
MIYABIどうしてももめてこじれ切った場合、「調停や裁判による強制売却」といった選択肢もあると思いますが、消耗も激しいためなるべくそうならないように向かう方が良いことは間違いありません。
離婚が決まったら|最初にそろえる資料と手続きの順番
どの選択肢を選ぶにしても、まずは今の契約と家計の状況を整理し、借入先へ相談するところから始めます。
最初にそろえる資料
相談の前に、次の資料で「誰がいくら借りていて、誰が保証し、家を誰がどれだけ持っているか」を確認しておきましょう。
| 確認すること | 資料の例 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 二人それぞれの残債 | 返済予定表、残高証明書、会員ページ | 残高・金利・残り期間・毎月の返済額・滞納の有無 |
| 借入れと保証 | 金銭消費貸借契約書、保証の書類 | 誰が債務者で誰が保証人か、変更や一括返済の条件 |
| 家の持分と担保 | 不動産の登記事項証明書 | 二人の持分、抵当権を設定した金融機関 |
| 住む予定 | 今後の居住者・転居時期のメモ | 誰が住み続けるか、二人とも出るか、貸すか |
| 返せる金額 | 収入資料、家計表、ほかの借入れの明細 | 離婚後の住居費・教育費・養育費を含めた毎月の余裕 |
| 売却に使えるお金 | 査定書、売却費用の見積り、預貯金の一覧 | 手取りの見込み、不足額、引越し後に残るお金 |
必要な書類は金融機関や手続きによって違うため、そろわないものがあっても、返済が苦しくなる前に相談を始めることが大切です。
合意から手続き完了までの6ステップ
家とローンの整理は、次の順番を目安に進めます。
- 契約と家計を整理し、二人分の残債・持分・保証・住む予定を確認する
- 借入先に離婚・転居の予定を伝え、返済の継続・債務引受・借り換え・売却に必要な手続きを聞く
- 売却の査定と費用の見積りを取り、同じ時点の完済必要額と比べる
- 一本化や売却ができるかを踏まえて、誰が住むか、返済・費用・残ったお金をどう分けるかを話し合う
- 合意を書面にし、金融機関の承諾・変更契約、決済、登記の日程を合わせる
- 手続きのあと、返済予定表・完済の書類・保証の変更契約・登記の内容を確認する
金融機関に認められるかを確かめる前に、「一人で引き受ける」「このまま二人で払う」などと決めてしまわないことが大切です。
離婚協議書や公正証書には、毎月の支払額と期日、固定資産税や修繕費の負担、相手が払えなくなったときの連絡と対応、売却時の費用や不足額の負担などをまとめておきます。
ただし、公正証書を作っても、金融機関に対するローンや保証がそれだけでなくなるわけではありません。
話し合いがまとまらないときや権利関係は弁護士、登記は司法書士、税金は税理士や税務署と、相談先を分けると話を進めやすくなります。
【ペアローン×離婚】に関する疑問に答える【Q&A】

ペアローンを組んで離婚したら、ローンの支払い義務はどうなる?
離婚しても住宅ローンの返済義務は消えません。
自分のローンは当然支払い続ける必要があり、相手のローンについても連帯保証人である以上、支払い義務を負う可能性があります。
ペアローンを一本化して名義を変更することはできますか?
金融機関の審査と承諾があれば可能ですが、ハードルは高めです。
金融機関の審査に通る必要があり、相手のローンを引き継げるだけの収入と信用が求められます。
借り換えによって一本化する方法もあります。
一本化したあと、出ていく側のローンと保証がどうなるかも確認しましょう。
家を売却すればペアローンの問題は解決しますか?
売却代金でローン全額を完済できれば問題はほぼ解決します。
ただし、費用を引いた手取りで完済できない「オーバーローン」の場合は、不足分を用意するか、任意売却などを検討する必要があります。
家に住まない方がローンを払い続けることはできますか?
金融機関に相談して認められれば可能ですが、無断だと契約違反とみなされる場合や、贈与税が課されるリスクもあります。
また、自分が住んでいない家に支払い続けることは心理的・経済的負担が大きく、長期的にはおすすめできません。
離婚後に自分の持分だけ売ることは可能?
自分の共有持分は単独で処分できます(民法206条)。一方、不動産全体の売却・建替え等の『共有物の変更・処分』には原則、共有者全員の同意が必要です(民法251条)。
しかし、現実的には買い手を見つけるのが非常に困難であり、取り扱っている不動産業者も少ないため、あまり現実的な方法ではありません。
共有名義を解消する際に税金はかかりますか?
相手から持分を取得(買い取るなど)する際には、不動産の名義変更(登記)が必要となり「登録免許税」がかかります。
また、相手に持分を譲る(売却するなど)場合、売却益が出れば「譲渡所得税」がかかる可能性があります。
共有持分を相手に「あげる」(贈与する)場合、税金はかかりますか?
離婚に伴う財産分与として持分を渡すのであれば、原則として贈与税はかかりません。
一方で、土地や建物を渡す側には譲渡所得の課税が生じる場合があり、登記や取得にかかる税金も手続きごとに確認が必要です。
ただし、財産分与の範囲を著しく超える「過大な分与」とみなされた場合や、離婚成立前に譲渡した場合は贈与税の対象となる可能性があります。

オーバーローン時にどう対処すればよい?
自己資金の補填、住み替えローン、無担保ローン、任意売却などが選択肢です。
どれもリスクや条件があるため、専門家のアドバイスを受けるのが安全です。
離婚後、住宅ローン控除はどうなりますか?
住宅ローン控除(減税)を受けられるのは、
- その家に実際に居住している
- 住宅ローンの名義人
である人です。
居住の用に供していること等が要件です。家を出た場合は原則適用外。居住要件や所得要件は最新の国税庁解説で確認してください。(参考)
家に住み続ける側が、新たに相手の持分を取得しローンを引き継いだ場合は、その分も含めて控除の対象となる可能性があります(要件確認が必要)。

「連帯保証人」と「連帯債務者」の違いは?
- 連帯保証人:
主たる債務者(ローン契約者本人)が返済できなくなった場合に、代わりに返済義務を負う人です。
- 連帯債務者:
夫婦それぞれが独立して全額の返済義務を負う関係です。
ペアローンは多くの場合、夫婦それぞれが主債務者であり、お互いが相手の連帯保証人になる形式ですが、金融機関によっては「連帯債務」の形式をとる場合もあります。
どちらにせよ、相手が払えなくなった場合に自分が全額の責任を負うリスクがある点は共通しています。
契約内容をよく確認しましょう。
離婚後、家に住み続けるにはどうすればいい?
ローンと名義を一本化するか、相手から持分を買い取る必要があります。
ただし金融機関の承認が必要で、収入や信用力が問われます。
贈与税や契約違反リスクにも注意が必要です。
任意売却をすれば、連帯保証から外れますか?
自動では外れません。
売却しても債務が残る場合、免責などが別に成立していない限り、債務者と連帯保証人の返済義務は残ります。
残ったローンと保証の扱いは、債権者に確認しましょう。
ペアローンを組んだ夫婦の約5組に1組が離婚するのですか?
そうした割合を示す調査ではありません。
よく引用される21.6%は、婚姻時に持ち家に住んでいた30~49歳の離婚経験者232人のうち、婚姻時にペアローンを利用していた人の割合です。
ペアローンを組んだ夫婦全体の離婚率は、この調査からは分かりません。
まとめ|後悔しないために、まずは専門家へ相談を


ペアローンは、夫婦二人の信用力で希望のマイホームを手に入れやすくする、非常に有効な手段です。
金利タイプを組み合わせるなどのメリットもあります。
しかし、その手軽さゆえに借入額が大きくなりすぎたり、今回見てきたように、
という大きなリスクを抱えています。
マイホーム購入という幸せな決断の時に、離婚のことまで考えたくない気持ちはよく分かります。
ですが、どんな夫婦にも「万が一」の可能性はゼロではありません。
ペアローンを利用する際は、メリットだけでなく、離婚時のリスクもしっかりと夫婦で話し合い、理解しておくことが重要です。
そして、もし離婚という現実に直面してしまったら、感情的にならず、冷静に最善の道を探る必要があります。
すでに返済中の方は、まず二人分の残債・持分・保証・住む予定を整理し、利用中の金融機関へ相談するところから始めましょう。
特にオーバーローンで任意売却などを検討する場合は、専門的な知識と経験を持つ相談先を見つけることが、スムーズな解決への第一歩となるでしょう。
- 法的な問題(財産分与、慰謝料など)を含めて相談したい方: お近くの弁護士へ
- 任意売却を具体的に検討したい方: 任意売却専門の不動産会社や相談窓口へ
MIYABI後悔のない選択をするために、一人で悩まず、専門家の力を借りることを検討してください。
夫婦喧嘩もほとんどなくて、仲の良い夫婦だと思っていた。なのに突然、パートナーから離婚したいと言われたときに、どのようにして離婚危機を乗り超えていけばいいのかをご紹介します。
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※本記事は2026年10月時点の日本の法令・税制に基づく一般的情報です。個別事情は金融機関・税務署・専門家へご確認ください。